NHK/ABUロボコン2019技術公開 自作エアシリンダ編

こんにちは.機械研のkennzoです.

本記事では学生ロボコンで使用した自作エアシリンダについて書いていきます.

もちろん調整は必要ですが,1時間ぐらいほっといても0.5MPa程度を保持していたので気密性は満足しています.魅力としては市販のものより手軽にストロークの長いシリンダを生成できるのと,圧倒的に軽く低コストです(材料費).

学生ロボコン本番ではシャガイの投擲に使用しました.


外観

自作エアシリンダの外観はこんな感じです.


・材質⇩
材質
チューブ塩ビ VP-16
ロッドアルミφ10
ヘッド,キャップPOM

・仕様⇩
チューブ内径16 mm
ピストンロッド直径10 mm
ストローク可変
使用圧力0.5 MPa
最大使用圧力0.6 MPa
使用チューブ外径6 mm
ネジ規格 伸R 1/4
ネジ規格 縮M5


構造

・ヘッド部分

ヘッドの構造は次の図のようになっています.
複雑な構造になっているのは②のパッキンを埋め込むためです.
①のパーツの裏に②のパッキンを埋め込むための溝を掘っています.
この部分の密閉は重要ですが,同時に摩擦抵抗も小さくする必要があるのでかなり調整がシビアです.摩擦抵抗を少なくするためシリコンスプレーを使用しています.
④とチューブはM18のねじを切って固定しています.また,気密性のためにOリングを挟み液状ガスケッドで固めてます.
すべてのパーツに8点の穴をあけており,最初の方の写真のように4点は皿ねじでヘッドパーツ自身を固定し,残りの4点はシリンダの取り付けに用います.

使用した液状ガスケッド⇒ https://www.monotaro.com/p/0233/6826/?displayId=5

ヘッド部品一覧
役割材質加工方法購入元
パッキン埋め込み用POMCNCフライス-
PDUパッキンNBR-https://www.monotaro.com/p/0001/3737/?displayId=5
自作パッキンNBRレーザー加工-
チューブとの接続POM旋盤-



・ピストン部

ピストンとロッドはM6で固定.
ピストン-チューブ間のパッキンはYパッキンを用いています.



・キャップ部

こちらは単純でヘッド部同様にM18でチューブと固定し間にOリングを挟んでいます.
また気密性を確実にするため液状ガスケッドを流し込んでます.



その他注意点

実際に製作しようという方にあらかじめ気を付けてほしいこと書いておきます.
・塩ビ管の内径の精度が悪いのでできれば購入前にピストンパーツと合うか確かめる.
・パッキンをはめ込む溝の外径や内径はピストンの動作するときの抵抗に影響するので調整が必要
・念のため内部にも干渉用のゴム板などを挿入すべき←なしでも自壊の故障はない


まとめ

自作エアシリンダを製作してみて
メリット  … 安い,軽い,カスタマイズ可能
デメリット … 調整大変で信頼性の確保が難しい
を実感しました.
ロボコンでは長いストロークが欲しいけど,重量が…お金が…そもそもほしいストロークがない…というときに重宝します.
そんなときが訪れた方の参考になると幸いです.





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