NHK/ABUロボコン2019技術公開 ①全体の振り返り

はじめに

はじめまして。NHK学生ロボコンでチームリーダーを務めていました3回の森田です。

さて、今回からNHK学生ロボコン、およびABUロボコンについての振り返り記事をリレー式に投稿していきたいと思います。

ハードウェア・回路・ソフトウェアの技術要素について、各担当者が1つずつ記事を公開していく形です。ハードウェアについてはGrabCadで設計データを、また回路・ソフトウェアについてはGitLab上のプロジェクトを公開します。

NHK学生ロボコンでは、ライバルである他チームに技術が流出することを避けるために、詳細な技術情報を公開しているチームはほとんど無いと思います。しかし、機械研では、以下の2点の理由で、技術情報を公開することを大会前から決めていました。

①技術公開によるメリットがデメリットを上回るという判断
各所で述べている通り、この度機械研究会は実に15年ぶりにNHK学生ロボコンに参加しました。10年、15年とNHK学生ロボコンに参加し続けているようなチームでは、チーム内に技術の蓄積があり、それに基づいてさらなる新規技術の開発をしていくような体制があるのではないかと思います。実際に今回大会に参加して、結果を残せるだけの技術を1年弱で開発できたことついては我々自身手応えを感じていますが、それと同時に他チームのロボットと見比べて我々の技術の成熟度の低さを痛感しました。
実力のある他チームに機械研が追いつき追い越していくためには、同様に技術を蓄積していく必要があるわけですが、その蓄積をチーム内のみで続けていくとすると、他チームと同様に10年、15年といったスパンで考える必要が出てきます。
技術情報を公開して、ロボコン参加者や趣味・研究でのロボット開発者等、多くの識者の方々に見ていただき、なにか利用できる部分があれば利用していただくことによって、サークル内だけでは得にくいフィードバックが得られるのではないか、そして結果としてこの10年、15年というスパンを少しでも早めることができるのではないかと考えています。

②15年ぶりの出場にあたって助けて頂いた関西の他大学への感謝
15年ぶりの参加ともなると、そもそも誰一人NHK学生ロボコンの機体を生で見たことがありませんでした。したがってロボットのサイズ感や重量、主に使用されている素材やパーツ等も全くわからないという状態です。
このような状況で困っていたところを、関西の他大学の方に交流会や練習試合に誘っていただきました。実際にNHK学生ロボコンに出場したロボットを間近で見ることができ、ロボットのイメージを形作る上で非常に役に立ちました。
こういった背景があるので、ほんの少しでもその恩に報いることができれば、そして今後新たに参入する大学の参考になれば、という思いから公開に至りました。

全体の振り返り

初回の今回は、出場に至るまでのタイムラインや、チームの人員構成等を全体的に振り返ります。

タイムライン

2018年6月NHK学生ロボコンのライブ配信を見て出場を決意。
7月キャチロボの製作と並行して場所や財源の確保、情報収集を始める。
8月キャチロボ製作。
9月キャチロボ終了後、本格的にMR1およびMR2の設計を開始。関西圏交流会。
10月MR1・MR2の1号機製作開始。
11月MR1・MR2の1号機製作。
12月MR1・MR2の1号機製作。
2019年1月MR2の2号機を製作開始、手動で動作を確認し、1次ビデオ提出。
2月MR1の2号機、MR2の3号機製作開始。
3月MR1の2号機、MR2の3号機製作。
4月2分30秒ウーハイ。2次ビデオ直後からMR2の4号機製作開始。関西合同練習。
5月最速50秒でのウーハイ達成。NHK学生ロボコン本番。
6月ABUに向けてMR1の強度向上、MR2の5号機製作開始。
7月ABUに向けてMR1・MR2のスピード向上。最速35秒でのウーハイ達成。出荷。
8月渡航準備、ABUロボコン本番。

人員構成

ロボット製作に関わったメンバーは全部で10人です。内訳は以下の通りです。
  • ハード:3人
  • 回路:2人
  • ソフト:5人
回路の2人はソフトウェア開発にもまたがって行ったので、実際には7人でソフトウェア開発を行っていました。また、フィールドおよび梱包箱の製作はソフト班の1人を中心に、ロボットの製作には直接関わっていない機械研員1人にも手伝ってもらってメンバー全員で行いました。
機械研究会では、入会当初に担当分野を分けることはしていません。NHK学生ロボコンの開発を始めるにあたって、流石に分担を決めないとチームが回らないだろうということで、各自が最も得意とする分野を担当とすることにしました。

さいごに

アイデア出しや製作中の試行錯誤については、メンバー全員の開発力、総合力(少なくとも小さなロボットであればハードからソフトまで1人で開発できる力)の高さにものを言わせてプロトタイピングを行っていたので、チームとしてきちんとしたマネジメントはできていなかったと思います。10人という少人数だからこそ、会議で方針を決めた後は、口頭およびslackで常に連絡を取り、密に連携を取っていたことが重要なポイントだったと思います。

製作上の苦労話などについてはDevice Plusで公開されている出場ロボット解剖計画にもいろいろ記載されています。以下からダウンロードして合わせて御覧ください。

さて次回以降、ハード→回路→ソフトの順で、各担当者が公開した設計データやプログラムの解説に加えて、製作秘話なども盛り込んで投稿していく予定です。お楽しみに。

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