NHK/ABUロボコン2019技術公開 ④回路・電装
こんにちは鍋屋とあちろむです。
第4回のこの記事では回路について型番公開とぼちぼちな説明をしていきたいと思います。
機械研究会ではきちんと引き継ぎがなされて来ず、NHK学生ロボコンでの使用に耐えうる既存の基板が一枚もなかったので、ボツになった機体に搭載していた物や予備を含めて15種類40枚ほどの基板を2人で設計・製作しました。
本番に出場した機体に搭載されていた基板は全てElecrowに発注して製作した基板でしたが、試作段階ではユニバーサル基板や感光基板も使用して開発ペースを確保しました。
CANやRS485などの通信をゼロから開発し、分散型の制御システムを構築することは開発時間的に難しいと判断したため、メイン基板から全てのモータドライバとセンサ類に直接配線しています。
そのためマイコンのピンや機能数の上限によってモータやエンコーダの数に制約(1枚のマイコンボードにつきモータが8個、エンコーダが3個まで)を課すことになってしまい、ハードウェア担当者には窮屈な思いをさせてしまいました。また、配線も非常に多くなり、見た目が汚くなってしまいました。
これらの問題点の改善が来年の課題の一つです。
基板上に姿勢検出用のIMUとしてMPU9250のモジュールを搭載しています。5V電源にはMurata製のDCDCコンバータを使用しています。
Pch MOSFETを使用して逆電圧保護回路を組んであるので、電源配線を逆挿ししても回路は保護されるはずです。(電源装置では保護回路の動作を確認しましたが、実際に配線を逆挿しすることはありませんでした。)
ハードウェアの構成に合わせて専用の基板を設計したことにより、汎用性はありませんでしたが、必要最小限の要素で回路を構成することができ、小型軽量化につながりました。
MR1のマイコンボードと同様、姿勢推定用のIMUとしてMPU9250を搭載していますが、ABUロボコン時は外付けでLSM6DS3のモジュールを使用していました。(理由はまた別の記事で述べます。)
ロボットのモードやスピードは基板上の2つのDIPロータリースイッチによって設定することができます。リトライ時のリトライ位置によるモード選択等をこのスイッチによって行いました。
チェビシェフリンク機構の回転数を計測するロータリーエンコーダにはAMT203を使用しました。STM32のタイマー機能のEncoder Modeを使用できるピンがどうしても埋まってしまったため、SPI通信を用いてカウント値が読めるものを採用しました。50cmほど配線を伸ばしましたが、ノイズで通信が乱れることはありませんでした。
二種類目はA3921というゲートドライバを使用した連続最大100A(??)のモタドラです。RS775モータなどを駆動するとなるとストール電流が160Aなのでせめて100A耐えるものを作りました。
A3921の中にはデッドタイム機能や、電圧異常検知、5vレギュレータが含まれるので非常に便利です。データシートを読むことに苦戦する以外は特に問題はありません。
FETにはTK100E06N1を使っています。放熱が心配でTO-220パッケージにしました。
本番に燃えると怖いので。いや燃やさないで。こっちもこわいから。
モータ電源とロジック電源の切り分けのためにフォトカプラ(アイソレータ)を使用しています。表面実装と2chという条件でTLP2105を使っています。
結果全部秋月部品で事足りました。
想定される電流にあうリレーが大きすぎたので、NchFETで各供給先ごとにスイッチングしました。注記ですが、Nchスイッチングはお勧めできません、せめてPchです。GND浮遊はFETゲートの損傷や異常な電圧上昇が起きることがあります。
過電流防止には溶断式のヒューズを利用しました。使用先ごとにヒューズを置いています。
逆接防止は一部の基板には搭載されてますが、特に電流量の多い部分には施せませんでした。電源のコネクタにXT60(及びXT30,XT90)を使用して逆接の可能性を減らし、あとは注意深くはんだすることでした。XTコネクタは表示上大電流で(XT60は30A)かつほかのコネクタと比べて格段に小さいことがメリットです。
MR2の自己位置推定に使用した測距センサはGP2Y0A21YKです。最近流行りのST製ToF(VL,VXシリーズ)もテストを行いましたが、壁の色・材質によって検出できる最大距離が変わってしまうことがわかり、採用を避けました。
エンコーダはsparkfunで買えるものとオムロン製を使用しました。上述の通りエンコーダの数に回路的制約があったので、一部は10回転のポテンショメータになっています。
各配線は基板対電線をXHコネクタ、電線対電線をSMコネクタを採用しています。
第4回のこの記事では回路について型番公開とぼちぼちな説明をしていきたいと思います。
機械研究会ではきちんと引き継ぎがなされて来ず、NHK学生ロボコンでの使用に耐えうる既存の基板が一枚もなかったので、ボツになった機体に搭載していた物や予備を含めて15種類40枚ほどの基板を2人で設計・製作しました。
本番に出場した機体に搭載されていた基板は全てElecrowに発注して製作した基板でしたが、試作段階ではユニバーサル基板や感光基板も使用して開発ペースを確保しました。
・MR1マイコンボード(あちろむ)
MR1にはNucleo-F767ZIを2枚搭載しています。Ethernetを使用するための周辺回路が搭載されていることが採用の理由です。一枚は足回り、もう一枚はゲルゲ・シャガイ機構の制御です。2台のマイコン間は他のメンバーが開発した独自プロトコルのUARTによって通信しています。CANやRS485などの通信をゼロから開発し、分散型の制御システムを構築することは開発時間的に難しいと判断したため、メイン基板から全てのモータドライバとセンサ類に直接配線しています。
そのためマイコンのピンや機能数の上限によってモータやエンコーダの数に制約(1枚のマイコンボードにつきモータが8個、エンコーダが3個まで)を課すことになってしまい、ハードウェア担当者には窮屈な思いをさせてしまいました。また、配線も非常に多くなり、見た目が汚くなってしまいました。
これらの問題点の改善が来年の課題の一つです。
MR1のマイコンボード |
基板上に姿勢検出用のIMUとしてMPU9250のモジュールを搭載しています。5V電源にはMurata製のDCDCコンバータを使用しています。
Pch MOSFETを使用して逆電圧保護回路を組んであるので、電源配線を逆挿ししても回路は保護されるはずです。(電源装置では保護回路の動作を確認しましたが、実際に配線を逆挿しすることはありませんでした。)
・MR2マイコンボード(あちろむ)
MR2は徹底的な軽量化を図りたかったため、Nucleoボードを使用せず、STM32F405のチップを実装しています。特に3代目MR2はジャンプする必要があったため、バッテリと基板をあわせて500g以内にするという目標で開発を行いました。ハードウェアの構成に合わせて専用の基板を設計したことにより、汎用性はありませんでしたが、必要最小限の要素で回路を構成することができ、小型軽量化につながりました。
1代目MR2(正統派馬型)に搭載されていたマイコンボード |
左:4代目(NHK)・5代目(ABU) 右:3代目(ジャンプ) |
ロボットのモードやスピードは基板上の2つのDIPロータリースイッチによって設定することができます。リトライ時のリトライ位置によるモード選択等をこのスイッチによって行いました。
チェビシェフリンク機構の回転数を計測するロータリーエンコーダにはAMT203を使用しました。STM32のタイマー機能のEncoder Modeを使用できるピンがどうしても埋まってしまったため、SPI通信を用いてカウント値が読めるものを採用しました。50cmほど配線を伸ばしましたが、ノイズで通信が乱れることはありませんでした。
・モータドライバ(鍋屋)
一種類目はVNH5019を使用した連続最大30Aまでのモタドラです。これは(かかわる界隈では)よく見る素子で、その電流量の割には非常に小さく面積・技術・時間などのコストを削減できるスグレモノです。二種類目はA3921というゲートドライバを使用した連続最大100A(??)のモタドラです。RS775モータなどを駆動するとなるとストール電流が160Aなのでせめて100A耐えるものを作りました。
FETにはTK100E06N1を使っています。放熱が心配でTO-220パッケージにしました。
本番に燃えると怖いので。いや燃やさないで。こっちもこわいから。
モータ電源とロジック電源の切り分けのためにフォトカプラ(アイソレータ)を使用しています。表面実装と2chという条件でTLP2105を使っています。
結果全部秋月部品で事足りました。
・UI(鍋屋)
雑魚くても紹介。レバーロック式のトグルスイッチと押し心地の良いスイッチとLCD、ではなくてOLED(有機ディスプレイ)です。スタートボタンは右手前のように大きくし、電源スイッチもミサイルスイッチを使用しました。加えて調整用にボリュームが載ってます。スタートボタン以外は全部秋月。・電源周り(鍋&あち)
非常停止スイッチは定格1A(DC)なので別の素子でスイッチングする必要があります。想定される電流にあうリレーが大きすぎたので、NchFETで各供給先ごとにスイッチングしました。注記ですが、Nchスイッチングはお勧めできません、せめてPchです。GND浮遊はFETゲートの損傷や異常な電圧上昇が起きることがあります。
過電流防止には溶断式のヒューズを利用しました。使用先ごとにヒューズを置いています。
逆接防止は一部の基板には搭載されてますが、特に電流量の多い部分には施せませんでした。電源のコネクタにXT60(及びXT30,XT90)を使用して逆接の可能性を減らし、あとは注意深くはんだすることでした。XTコネクタは表示上大電流で(XT60は30A)かつほかのコネクタと比べて格段に小さいことがメリットです。
・その他(鍋&あち)
マイクロスイッチはオムロンのSSシリーズを使用、ヒンジなし、Rヒンジ、ローラヒンジなど用途に合わせて使い分けます。MR2の自己位置推定に使用した測距センサはGP2Y0A21YKです。最近流行りのST製ToF(VL,VXシリーズ)もテストを行いましたが、壁の色・材質によって検出できる最大距離が変わってしまうことがわかり、採用を避けました。
エンコーダはsparkfunで買えるものとオムロン製を使用しました。上述の通りエンコーダの数に回路的制約があったので、一部は10回転のポテンショメータになっています。
各配線は基板対電線をXHコネクタ、電線対電線をSMコネクタを採用しています。
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